写真家 千葉和広


姉妹サイト「 untalkative photographs 」は、ほぼ毎日更新。こちらのサイトは過去の写真も含めて動画とショートエッセイで随時更新しています。

2016/04/28

・・2011年10月 / 仙台・鐘景閣・・


仙台市太白区の茂庭というところに鍾景閣(しょうけいかく)という建物がある。明治期の伊達伯爵家の住居を移築したもので、現在は食事等で利用・見学できるようになっている。

こちらの写真は建物の入り口付近。前庭というわけではなく(立派な中庭がある)、何となく草地になっているところとでも言えばよいのだろうか。あたりは木々に囲まれていて気持ちのいい場所である。

震災から半年が過ぎて「ちょっとこんなところで食事でも」というような気分になってきたころで出かけたのだったと思う。

スーパーには長蛇の列、ガソリンが手に入らない、ガスが止まって風呂にもはいれない。などという準被災地での出来事も過去のものとなりつつあった。テレビなどでは「震災を風化させるな」という言葉が、ちらほらとあらわれはじめていた。

2016.4.28


2016/04/22

・・2005年5月 / 岩手県・江刺・・


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鹿踊り(ししおどり)を見ているときにかんじる、あの「怖さ」はどこからくるの
だろうか。目前の装束、踊りそのものというよりも、それをきっかけにかつて自分
が小さな子供のころにかんじていた「怖さ」の記憶が、揺り起こされるような感覚が
ある


何がどう怖かったなどということはもう具体的には思い出せない。ただ「怖さ」の
感覚だけはぶ厚い記憶の層の底から一瞬だけ浮かび上がる。

2006.2.22

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こちらの写真・記事も旧サイトからの再録。皆さんが着ている法被の背中の紋は「九曜紋」といい仙台藩・伊達家が使用していた家紋のひとつ。(ちなみに私の家も九曜紋です)

江刺を訪れたこの日も大きめの地震があった。東京での生活から仙台に戻ってまだ間もないころだったが、「今後5年以内に宮城県沖を震源とする大きな地震が起こる確率は90%」などと、頻繁にニュースなどで報道されていたことを思い出す。

あとは、それがいつ来るのかが問題だった。地震がくることは、皆知っていたのだが。

2016.4.22



2016/04/21

・・2006年1月 / 沖縄・那覇空港・・


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南国とはいっても1月の沖縄はやはり「冬」らしい。


飛行機から到着ロビーに向かう通路を歩いていて感じる予想外のひんやりとした空気に、軽いコートを羽織ってきたのは正解だと思った。

レンタカーで空港を後にし、地元で「エンダー」と呼ばれるA&Wというハンバーガーショップに立ち寄る。注文を終えて席に着くと、窓ぎわに座っている大学生ぐらいのカップルが二人ともマフラーをしていることに気がついた。

さすがにそこまでは寒くないだろうと「本土」からきた人間は思うのだが、ファッション
に敏感な沖縄の若いひとにとっては「マフラーを巻く」ということが実践できる数
少ない日だったのかもしれない。



2006.3.27

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私は2005年に「ピープル・タイム」という名前でホームページを起ち上げたが、そのまま放置してしまった。今回のホームページ(ブログ)はそのリニューアル版と考えている。

そのような訳で久しぶりに放置された旧サイトを見てみたのだが、なかなかおもしろいと思われる写真・記事もあるので(自分でいうのも何なのだが)、いくつか再録していきたいと思う。

文章の書き方はあまり変わらないようだが、若い分だけちょっとスカしてるかもしれない。それにしても10年前の写真・記事と思うと感慨深い。

2016.4.22

2016/04/17

・・2011年8月 / 石巻川開き祭り その2・・


前回の続き。 石巻には漫画家・石ノ森章太郎さんの記念館「石ノ森萬画館」がある。旧北上川の中洲にある萬画館は5m近い津波が押し寄せたそうだが何とか建物は持ちこたえて、2011年11月17日には再オープンしている。

聞くところによると、私は石ノ森さんの遠い(遠い!)親戚にあたるらしい。小さい頃に両親が石ノ森さんに会わせてくれるよう画策してくれたそうなのだが、結局実現しなかったようだ。(仮面ライダー1号.2号.V3が全盛のころです)

私が小学校1年生のときにテレビ放送がはじまった石ノ森さん原作「秘密戦隊ゴレンジャー」は、幼心にも「集団のなかには、それぞれに与えられた立ち位置がある」ということを教えてくれたと思う。

「ナンバーワンよりオンリーワン」よりは有益だったのではないだろうか。


2016.4.17

2016/04/14

・・2011年8月 / 石巻川開き祭り ・・


東日本大震災から5ヶ月弱の石巻中心の駅前商店街の風景。中止も視野に入れていた(であろう)川開き祭りは、この年も何とか開催にこぎつけることができた。(のだと思う)

震災の5年前ぐらいにここを訪れたことがあるが、そのころすでに駅前商店街は「シャッター商店街」(申し訳ありません)と化していた。春先の平日ということもあったが人通りもまばらで閑散とした雰囲気。天気だけはものすごく良いのだが、風が強く寒かったことを覚えている。

その時にふと、「シャッター商店街をテーマに写真を撮ろう」と今かんがえるとつまらないことを思いついたが、その後シャッター商店街に行くことも、石巻に来ることもなかった。

2016,4,14


2016/04/11

・・2011年5月 / 仙台・クリネックススタジアム宮城・・


言わずと知れた(少なくともこのあたりでは)プロ野球球団、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地であり、2016年現在は「楽天KOBOスタジアム宮城」に改名している。

私にとっては野球少年時代に試合をしたこともある旧「宮城球場」であり、誰かに場所などを説明するときは適当に「楽天の球場」ということが多い。

震災から2ヶ月が経ち、準被災地ともいえる仙台市中心部は落ち着きを取り戻しつつあった。というよりは重苦しい緊張感から解放されつつはあるが、どうして良いのかわからない、中途半端な、ある種の無気力な空気が漂っていたような気がするのだが。

そんなこと写真からは何もわからない。実際どうだったのかも忘れかけている。



2016.4.11