写真家 千葉和広


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2016/07/15

・・1992年4月 / 東京・秋葉原・・


1992年、思えばまだ写真学校に在学中だった私が、「写真」を撮ることに開眼した1枚です。もしかしたら「鉱脈」のようなもの発見したのではないか、ここを掘り進んでいけば「写真家」になれるのではないか、と思わせてくれた自分ではお気に入りの写真です。

でも、今こうしてみると、そのころ(今でもですが)好きだったリー・フリードランダーやゲリー・ウィノグランド「っぽい」写真が撮れて喜んでいただけだったのかもしれません。

ここから始まったモノクロストリートスナップは、2002年にリクルート・ガーディアンガーデンが主催した「人間の街」というコンペに入選し、1週間の会期ではじめての個展をやらせていただくという形で結実しました。

会期中、ある評論家の方(まあ、ずばり飯沢耕太郎さんですが)が立ち寄ってくださいました。しばらくしてから展覧会評をまとめた本を出版されたので、恐る恐る立ち読みしてみると、「従来からある写真の手法で過不足なくまとめた写真」(※私の要約です)というような感想が書かれていました。

まあ一言でいえば「凡庸」ってところなのでしょうか。

その後、何となく諦めがつかずにカメラ雑誌に持込などをしてみましたが、「ああ、ちょっと前まで、みんなこんな写真撮ってたよねー」といったかんじの反応でした。

以上、何でもいいから何者かになりたい!と自己実現の罠にはまりもがいていた「写真家になりたかった男」の回想録でした。

2016.7.15